美術品・創作芸術としてサンキャッチャー
サンキャッチャーがもたらすプリズム効果や光の現象を動く芸術作品としてとらえ作制されたアート。光とクリスタルと風の計算不能な偶発的な動きからもたらされるサンキャッチャーの光の演出は、キネティック・アートとライト・アートの2つの側面持ち合わせているといえます。キネティック・アートとは、動く美術作品または動くように見える美術作品のこと。物理的に実際に「動く作品」の場合、その動力限としては自然の力(風や水流など)電力や磁力、人力など様々です。自然の風力を応用したデンマークのキネティック・アートであるモビール作品にも似たアート性がサンキャッチャーにも備わっているといえます。
また光を利用する点ではライト・アートの側面も持ち合わせています。ライト・アートとは人工的な光や電気を使用した芸術作品の総称です。20世紀初頭のバウハウス(ドイツ・ヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合美術学校)で光による空間表現が行なわれはじめました。
光をガラスや金属板の面が反射しながら揺れ動く光の表象をアートにしたハンガリー出身の芸術家モホリ=ナジ・ラースロー(Moholy-Nagy László)のライト・スペース・モデュレータ(Light Space Modulator 1922-30)などがその一例です。これはキネティック・アートとライト・アートの両方のアート性を備えたキネティック彫刻の代表作といわれています。
キネティック・アートとライト・アートは、ともに動きや流動性が演出ともなうこともあり、相互の親和性が高いといえるでしょう。
サンキャッチャーの揺れ動く光の表象は、静止した状態から時間・空間双方の流動的な次元へと展開するものであり、キネティック・アートとライト・アートの性質を持つ作品になる可能性を秘めています。今後はサンキャッチャーアーティストによるアートブースや展覧会活動など行われていくことと思います。