美しいビース玉の悲しい歴史
ビーズ玉の歴史は古く、天然石や動物の骨などを利用したビーズは、遥か石器時代にまで遡ります。ガラス製のビーズ玉やトンボ玉の歴史は、およそ紀元前15世紀のエジプトから始まります。
イギリスの考古学者アーサー・ピートリーが発掘したエジプト第18王朝(前1552年~前1306年)のファラオ・アケナートンの王宮内に発見されたガラス窯からは、ガラス塊のほかに色ガラスの小玉やトンボ玉が発見されています。紀元前7世紀後、西アジアやユーラシア各地で美しいトンボ玉が作られるようになり、その後各地でビーズ玉やトンボ玉が製造されるようになりました。
当時ガラス製造に高い技術を持っていたヴェネチアでは、高品質のビーズ玉やトンボ玉などを作り出し、アフリカや北アメリカの先住民の資源との兌換品として交換していていました。ヴェネチアはじめヨーロッパ諸国ではビーズ玉やトンボ玉を大量に生産しては、大陸の先住民の領土や資源を不当に交換していた非条理な歴史事実もあったようです。
彼ら先住民にとってヨーロッパのガラス職人が細工したビーズ玉やトンボ玉は、先住民自身が製造した物と比べようにならないほど透明で美しく、彼らにとっては垂涎の宝物として重宝に取り扱っていたようです。
現在のサンキャッチャーにもビーズ玉を利用することがあります。しかし、古来より宝物のように取り扱っていたビーズ玉やトンボ玉をサンキャッチャーのように住居や窓に吊るすことは、ダイヤやルビーの高価な宝石を壁にかけるようものであり、現実的ではないといえます。兌換流通の観点からも高価なビーズ玉やトンボ玉が、サンキャッチャーの起源になったとは考えにくいと推論できます。